東日本大震災を経験して、緊急連絡について改めて検討されている教育機関も多いことと思います。
もちろん、すでに緊急連絡のシステムを導入している教育機関もあると思いますが、本当に万全なのかをいま一度考えてみるよい機会ではないでしょうか。

たとえば、今回の福島第一原発の事故でも東京電力は津波の被害を受けた時のトラブルは想定していましたが、それ以上の津波が押し寄せてきたことにより想定以上のダメージを受け今回のような状況になっているのです。
つまり、往々にして「想定外」のことが起きるわけで、想定どおりにならなかった時のことを考えておくことが重要なのです。

とくに、児童や生徒を預かる教育機関では、緊急連絡のシステムが何らかの原因で利用できず児童や生徒が災害に巻き込まれるようなことにでもなれば一大事です。

そう考えると、緊急連絡の方法を準備しておくのは当然で、できれば複数用意して万一の場合に備えることが大切ではないでしょうか。
「そこまでしなくても」と考える方もいるかとは思いますが、人命にかかわることは「想定外でした」で済まされないのです。
まして、ASPのサービス提供会社に責任転嫁しても何の解決にもなりません。

東日本大震災での被災地では固定電話が通じない、基地局が被害を受けたことで携帯電話や携帯メールもつながらないという最悪の状態、つまり、完全に外部との連絡を絶たれた孤立状態になった地域もあります。
そこまで最悪の状況になれば別ですが、東京などでも固定電話も携帯電話もつながらない、携帯メールもなかなか届かないという状況でした。
そうした中でも、インターネットに接続できさえすれば、パソコンのメールやTwitter、Facebook、ミクシィ等のサービスを利用することも可能なのです。

つまり、インターネットに接続できる方法を確保することは非常に重要な危機対策といえるのです。

バッテリーで使えるノートパソコンやスマートフォンなど携帯端末があり、インターネットに接続できれば、なんとか外部と連絡が取れる可能性があるからです。

そのためにもインターネットに接続できる機器を準備することとだけでなく、インターネットに接続するためのプロバイダーなどを複数確保しておくことなど万一の場合に備えておく必要があるのです。

話を緊急連絡に戻しますが、緊急連絡のシステムは、ASPタイプやソフトウェアタイプがあります。

ASPタイプの緊急連絡システムの多くは、サービス提供会社のサーバーに連絡先のアドレス等をあらかじめ登録しておいて、それを外部のパソコンや携帯電話などから操作してメールを送信するものです。
このタイプは、サービス提供会社のサーバーが災害時に正常に稼働していることが大前提となります。サーバーにアクセスが集中し処理が遅れたり、サーバーがダウンしてしまうようなことにでもなれば利用できなくなりますので、ある程度の規模の会社が提供するサービスを選ぶ必要があるでしょう。
ただ、先日のみずほ銀行のシステムトラブルをみてもわかるように、どんなシステムでもトラブルの可能性はあることだけは理解しておく必要があります。

一方、ソフトウェアタイプもパソコンにソフトをインストールして使用することになるため、そのパソコンが故障してしまったり、パソコンを操作できる人がいない状態だと使用することができません。

つまり、どちらのタイプも100%どんな時でもどんな状況でも利用できるという保証はないので、万一の場合に備えて複数の緊急連絡方法を準備しておく必要があるのです。

まだ、緊急連絡の仕組みを準備していないという場合は、コスト的にも安いソフトウェアタイプでもいいのですぐにでも導入すべきですし、ASPタイプをすでに導入している場合でもソフトウェアタイプをバックアップ(予備)として用意することを検討してみてはいかがでしょう。