長期修繕計画は、マンションの快適な居住環境の確保と資産価値の維持・向上のために必要な修繕工事を行うための計画でほとんどのマンションにあるはずですが、長期修繕計画によって修繕積立金の額も決まってくるのできちんとした計画を立てる必要があります。

一般的に分譲マンションの場合、デベロッパー等が長期修繕計画を立てそれに基づいて修繕積立金を決めていますが、デベロッパー等が作った長期修繕計画は、将来的に一時金が必要になったり、徐々に修繕積立金が増えていくなど分譲時にあまり高い金額にならないように作られたものがあるので注意が必要です。

国土交通省が平成20年6月に発表した長期修繕計画作成ガイドラインでは、修繕積立金の将来的なアップを防止するために「均等積立方式」が採用されています。
つまり、当初数千円だった積立金が将来何倍もの金額になるような事態を避けるために一定の金額で積み立てるということです。

そして、ここで忘れたはならないのは、ディベロッパー等が作成した長期修繕計画は、一般的な大規模修繕を想定して計画されているので、約10年たった時点で実際に必要な修繕内容となからずしも一致しないということです。

長期修繕計画にあるからといって本来必要のない部分まで工事をすることがないようにしなければなりません。工事の時期にしても、マンションの日ごろの管理や立地など様々な要素によって劣化の進み具合は異なりますので、長期修繕計画に定めれた時期に必ず実施しなければならないというものでもないのです。

一般的にマンション管理組合の理事会は、建築の専門家集団ではありませんので建物劣化の具合を判断することも難しいことですし、任期も短いことから前期の理事の仕事を覆すようなことは避けようとする傾向にあります。
しかし、大規模修繕工事を一年間延期したことで建物が劣化して住めなくなるということは考えられませんので慌てることはないのです。
納得のいく修繕工事の内容と金額に落ち着くまで十分に議論すべきだと思います。
当然のことですが、一年間大規模修繕工事が延びた場合マンションの規模にもよりますが、相当な額の修繕積立金が増えます。
当初の長期修繕計画に無理やり合わせて大規模修繕工事を行い将来積立金不足に悩まされることのないようにする必要があるのです。

その為にも、ディベロッパー等が作成した当初の長期修繕計画の見直しを行う必要があります。
出来れば、第一回目の大規模修繕が行われる前、それも出来るだけ早い時期から見直しを行うべきだと思います。

見直しを行う際には、コンサルタント会社に依頼することもあると思いますが、コンサルタント会社によっても工事内容や金額は大きく変わってきますので注意が必要です。

実際問題としてコンサルタント会社もマンションの長期修繕計画に計上されている大規模修繕の金額を少しでも安くしようという発想ではなく、計上されている金額内で当初計画されていた修繕工事の内容を如何に問題なく実行するかという発想の場合が多いのです。

管理会社はそのマンションの長期修繕計画を知っているわけですから、当然のこととしていくら修繕積立金がいくら有るかも知っています。
管理会社やコンサルタント会社は、下手に当初の長期修繕計画にある修繕内容を削って(見直して)後々問題になると困るので、一般的な大規模修繕の内容を勧めるのです。

つまり、素人だから分からないと言って外部の専門家に全面的に任せるのではなく、素人なりに勉強して無駄を省く努力が必要だということです。
大規模修繕のコストを適切に引き下げることができれば、修繕積立金の上昇を防ぐことができるわけですから。

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